完成急ぐ分離壁

5月16日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

写真1:分離壁数日前、東エルサレムの路上で日本人僧侶に会いました。ベタニアに庵を構え、来る人を迎え入れ、日蓮宗風の装束でイスラエル、パレステイナを渡り歩く、仏教伝道者です。この数年、会うことがなかったので、安否を気遣っていました。

挨拶もそこそこに、フェンスのことを尋ねました。ベタニアはフェンスの外側なのです。塞がれ、イスラエル兵士が監視しているとのことでした。それで、遠回りしなければ、エルサレムに入ることが出来なくなったとのことでした。

実は、枝の主日の折、構築中のフェンスを確認したのです。ベトファゲとベタニアを遮るものです。
【写写真2:ベタニア側から真:1)分離壁;2)ベタニア側から;3)出入り口;4)監視塔】。

2004年の時、通り抜けることの出来た2メートルぐらいの隙間は、予測した通り、監視塔となっていました。しかし、壁に沿ってしばらく行くと、コンクリートの壁は途切れ、ネットになっていました。そこの破れ目が人々の出入り口となっていたのです。【
写真:5)切れ目;6)ベタニア記念聖堂】。話によると、ここに、イスラエル兵がいて、監視しているとのことです。

パレステイナではハマス政府が成立しました。イスラエルでは、新政党カデイスと労働党は連立に合意したとありましたが、まだ、新政府成立のニュースはありません。しかし、ハマス政府がイスラエルを承認せず、パレステイナ武力解放を主張しているので、イスラエル・パレステイナ並存による和平の実現は不可能です。

写真3:出入り口EUとアメリカはパレステイナ暫定政府への財政援助を停止しました。日本もこれに倣ったようです。これにより、政府関連機関職員の給与が未払いになり、騒動が予測されます。にもかかわらず、ガザではファタファ(アッバス議長系)とハマス(暫定政府系)の武装勢力が衝突し、死傷者が出たとのニュースが数日前ありました。それに、ガザからイスラエルにロケットが打ち込まれるので、イスラエルは砲撃、空爆で応酬しています。

戦場化した地域の住民にとっては災難ですが、イスラエル国内では分離壁の効果で自爆テロは少なくなりました。このせいでか、キリスト復活大聖堂では欧米のカトリック国からの巡礼団が多く、日に20を超える巡礼団ミサがあり、私たちは自分のミサのため、祭壇を確保するのに気を使っています。


写真説明
1)分離壁:オーリブ山から下りになり、ベトファゲに近づいたところからです。ベトレヘムの先、ヘロデオン方向です。手前がエルサレム側です。

2)ベタニア側から:2004年のものです。鐘楼はオリーブ山のロシア正教女子修道院のもです。中央右の木立はベトファゲ修道院です。

3)出入り口;2004年のもです。

写真4:監視塔
4)監視塔:出入り口を塞ぎ、監視塔となりました。

 

 

 

 



写真5:切れ目5)切れ目:監視塔を通り過ぎて進むと、コンクリート壁が途切れていて、50メートルぐらいネットになっていました。

 

 

 

 

写真6:ベタニア記念聖堂6)ベタニア記念聖堂:左側がフランシス会、中央がモスク、右がギリシャです。