イスラム原理主義組織ハマスの圧勝

2月5日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

先月行われたパレステイナ暫定政府評議会選挙は、事前の予測通り、ハマスの勝利で終わりました。しかも圧勝でした。友人のイスラム教徒もキリスト信者もこの選挙結果に驚き、狼狽しています。ハマスは国家としてのイスラエル存在を認めていません。これまで、破壊活動(テロ)を通してイスラエルに挑戦し、パレステイナ解放活動を続けてきました。ハマスの原則に立てばイスラエルとの共存はありえないのです。

イスラエルは、当然、ハマスを和平交渉の相手としていません。しかも、パレステイナ側に渡さなければならない税の送金を停止すると発表しました。アメリカやEUは民主的な選挙を評価しながらも、中東問題解決のためには国家としてのイスラエルの承認が大前提だとし、ハマスに現実路線への転換を迫っています。それに、シャロン引退後のイスラエル政局が来月予定のイスラエル議会選挙にかかっているので、しばらくは模様眺めとなりそうです。

いずれにしても、ハマスは政治的にはイスラエル人をこの地から駆逐し、パレステイナ独立を謳い、社会的には取り残されたパレステイナ人の救済、福祉活動に熱心にかかわっています。選挙の結果は当然でした。しかし、ハマスがイスラム原理主義に基づく政策に固持し、イスラエルとの共存を拒絶するなら、その経済的損失は計り知れないものがあります。イスラエルは非人道的と言われるフェンスの完成を急いでいます。パレステイナ国家はイスラエルとの共存無しには成り立たないのです。

ハマス指導者が10年先、20年先、100年先を見据え、今ともに生きる住民が生きる希望と活力を汲み取れる現実的政治へと舵取りしますように祈ります。